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もっとまじめに考えなければならない産後クライシス 産後に見られる逆上、人格の変貌について [家事]


 すべてのお母さん、その夫、なによりも子どもたちのために

<初めに~本を手にしたきっかけ~>

ネットで「産後クライシス」という言葉が出てきて、興味を持ちました。ここ数年特に多くなってきた事例で、「会社から帰宅したら、妻が子どもを連れて家を出て行っていた。」という現象があります。相談を受けたり、依頼を受けたりする事例が増えています。取り残された夫側から依頼を受けることが多いのですが、妻側からの依頼や相談を受けることも増えています。
この事例には、奇妙なほどに共通する事項があります。
①第2子を生んだ2年以内の出来事である。
②取り立てて原因がわからない(不貞や暴力がない)。
③夫に対して生理的嫌悪を抱いていて面会や電話も拒否する。
③通常は実家に帰っている。
④話し合いにならない。
⑤結婚以前は、妻と妻の母親との折り合いは良好とは言えない。
等です。不思議と類似のケースが多くあるのです。解決が困難な事例ばかりでした。この現象を説明する言葉として、「産後クライシス」という言葉が使われているならば、当事者に本を読むように勧めようと思いました。NHKの「あさいち」という番組で取り上げられて、「産後クライシス」(ポプラ新書)という本になっているというのです。他人に薦める前に、先ずは自分で読んでからと思って読んでみました。読んだ結果、うんざりしました。当初は、それでも言葉を作った功績があるので、そこを評価したい気持ちがありました。しかし、結局は、いろいろなミスリードがあり、デメリットの方がはるかに大きいので、批判しなくてはならないと思いました。
批判のポイントは3点です。
ⅰ)これは、おおたとしまさ氏のブログ、「子育て事情 つっこみどころ満載の「産後クライシス」論争」で取り上げられているとおり、「トリガーを引くのは、夫ではなく生理作用」ということです。
  NHK産後クライシスは、解決方法として、夫の家事と子育て参加を提案しています。産後クライシスの主たる原因が、夫の家事不参加によるものだと考えていることになります。しかし、このような外的なところに原因はありません。夫がいくら頑張って、いくら優秀なイクメンとなったところで、解決しません。どうしたって、母となった妻は夫に対する「愛情」が低下し、攻撃的感情が芽生えるからです。
  逆上の対象となったり、「一緒の空間で息をしたくない。」といわれたりする夫は、むしろ、家事育児に積極的な夫です。仕事も人並み以上にこなします。夜遅く帰ってきても、眠っている妻を起こさないように子どもの夜泣きに対応している、休日は一日中子供の面倒を見ている夫が多いです。そういう健気な夫たちが、この本を読んで、もっと頑張ってしまったら、おそらく倒れてしまうでしょう。一番心配なのは、苦しい妻を支援する人たちが、この本を真に受けて、夫ばかりを責めてしまうことです。妻は苦しみから逃れるため、いよいよ怒りの照準を夫に定めるようになってしまいます。こうなってしまうと家庭崩壊に向かうしかありません。
ⅱ)産後クライシスは、夫婦にとっても、本にかかれているよりもっと深刻、NHKが取り上げる産後クライシスは、結局破綻が現実化していない軽いケースだということ
実際の産後クライシスは、離婚以外にも悲惨な結果をもたらします。
第1に、母親側の問題としては、孤独感の助長があります。産後うつとも連動して、自死や乳幼児を道ずれにした無理心中などが起こっています。
夫を残して、子どもを連れて実家などに生活の居を変えるということもしばしばあります。DVがないのに過激な手段をとり、激しい感情の対立が起こることがあります。
夫から逃げたのは良いが、経済的に困窮してしまうということもよく見られることです。小さい子を抱えていては、就労条件も不利なものになります。
精神的な回復が遅れることは多いように感じます。数年を経ても入退院を繰り返していたり、心理カウンセリングを続けていたりという人たちが、私の周囲に増えてきました。
記憶の混乱が見られたり、夫が関係する話になると話しが論理的に整合しなくなったり、つじつまが合わない話をしてしまうということも見られます。
第2に、夫側の問題としては、妻の突飛な行動が理解できず、子どもにも会えなくなるということで、精神的に深刻な問題が生じます。自死リスクも高まります。孤独とか疎外という言葉も正しいのですが、「一生懸命働いたり、一生懸命家庭のことを気にかけて、行動したりしていたのに、この仕打ち」ということで、自分に対す強烈な人格否定行為ととられます。
突発的な妻の逆上に、どう対処してよいかわからず、困惑して、無力感、絶望感を感じてうつ状態になる方もいらっしゃいます。
連れ去り離婚の影響として、長期間を経ても夫に精神的に深刻な状態が続き、仕事が続けられなくなったり、アルコールに逃避したり、犯罪につながる事例もありました。
ⅲ)HNKの産後クライシスの一番の問題は、生れた子どもの健全な成長の視点からの考察が何もされていないこと
  一番影響を受けるのは、生れたばかりの子どものはずです。子どものために夫婦で頑張って危機を乗り越えるとか、子どもへの影響を最小限にするということが考えられていません。連れ去られた子どもは、例えば父親が自分の目の前に現れなくなった。そうすると年齢によっては、母親もいなくなるのではないかという不安に襲われたり、自分のせいで父親が去っていったのではないかと考えたりすることが少なくないといわれています。離婚に伴う子どもへの悪影響は、取り返しのつかない場合も多くあります。
  産後クライシスは、夫婦の危機でもありますが、子どもを含めた家族の危機だととらえるべきです。もちろん、夫の両親も、妻に子どもを連れ去られ、夫と同じように憎しみの対象とされ、深刻な精神的な打撃を受けています。
  NHKの「産後クライシス」は、結局、産後の危機的状況が出現することから話が始まっているのに、軽微な妻の愚痴や不満ですむ程度のクライシスにすり替わっています。最初統計などで、産後クライシスの深刻な実態が紹介されたにもかかわらず、中盤からは、著者ら自分の体験を中心に産後クライシスを乗り切った段階での主婦の不満や口のレベルの問題にすり替わっているのです。このため、夫の家事参加、子育て参加の提案にすり替わるのです。実態を深く掘り下げることをしないで、夫に対する攻撃をして一件落着とするということは、「妻の主たる敵(苦しめる存在)は夫」だと結論付けているわけです。このように夫主敵論を唱えるIndoor feminismは、フェミニストたちから、「女性の視点で社会問題に対処し、平和で平等な社会を構築してゆくのではなく、家庭問題に矮小化し、社会問題から目をそらす弊害がある。」と総括されだしているところです。本件の問題でも、結局女性の感情の解放を優先するあまり、合理的な分析や解決、それ以前に事実の把握さえも遠ざけて、世の夫を攻撃しているのです。このことを自覚しなければなりません。夫の家事と育児の問題は、それはそれで、また別の問題として取り上げて啓発すればよいでしょう。


<産後クライシスのメカニズム>

1 産後の女性の不安
 ⅰ)共通する不安心理
出産後、特に産後クライシスの状況を呈している女性の心理には、共通する部分が多くあります。これから提示するお話は、統計的に証明されているものではなく、私が、実際の依頼者、相談者や相手方からの聴き取ったもの、その他の本人の作成した資料に基づくものであることをお断りしておきます。
   核になる共通項は以下の通りです。
・ 漠然とした不安がある。
・ 独りぼっちになりそうな気がする。
・ 自分だけ損をしているような気がする。
・ 「どうして自分だけ、こういう目に遭っている」という気持ちになる。
・ 自分が、人間として、女性として尊重されていない。
・ 子どもの奴隷になっているような気持ちになることがある。
・ 自分の実家もないがしろにされている。
   それでも、言葉にすることはなかなか難しく、漠然と不安を感じている方が多いと思いようです。不安だということさえも自覚がないことが少なくないようです。とにかく重苦しい気持ちになったり、暗い気持ちになったりするということが多いようです。
   通常は、合理的理由があるものではなく、まず、不安が最初にあるようです。
 ⅱ)不安の原因としてのホルモンバランスの変化
   このような不安を感じる原因として、セロトニンの分泌が少ないのではないかということが良く指摘されているようです。この真偽は私にはわかりません。
   私は、出産に伴うコルチゾールの消費が関連しているのではないかと考えています。
   コルチゾールは、危険を感じた場合に分泌されるホルモンで、アドレナリンなどと同時に分泌されます。アドレナリンなどが血圧や脈拍、体温などを上げる交感神経を活性化させるものですが、これを補完する形で血糖値などを上げる働きがあるそうです。そして、同時に、交感神経を抑制させる働きもあるそうです。コルチゾールが分泌されなかったり、うまく働かなかったりすると、交感神経がなかなかおさまらなくなりますから、危機意識に基づく逃避願望や戦おうとする怒りが持続してしまうということになりそうです。
   また、コルチゾールが多量に分泌され続けることによって、脳の海馬という、コンピューターのメモリのような働きをする部分が萎縮することが知られています。
   妊娠中もコルチゾールの分泌は多くなりますが、何よりも出産によって大量のコルチゾールが消費されるそうです。
   不安が止まらないという現象が、母親の脳内で起きても、そう不思議ではないでしょう。
 ⅲ)三面関係という新しい家族の形態
 誰しも、新しいことをするときには不安があるものです。学校に入学した時、会社に就職した時、結婚の時も不安を感じるのが当たり前です。この不安は、新しい対人関係を継続していくうちに、危険がない、安心できるということを学習し、安全であるという記憶を獲得する中で消えていきます。
 出産も、家族が一人増えるだけでなく、このような新しい家族関係が生まれることなのです。家族は、一人がなくなっても別の家族になりますが、一人増えても別の家族になると考えたほうが良い場合があります。夫婦二人で調和が保たれていても、もう一人の人間が登場し、常に一緒にいるということですから、これまでとは違う家族になります。なんとなく、不安になる原因となるのではないでしょうか。
 もちろん、弱い赤ちゃんという存在も不安を駆り立てるのかもしれません。
 コルチゾールの分泌が低下し、ないしは、機能が低下し、不安、危機意識を低下させられない場合、このような危機意識、不安は、外部の理由がなくても自然に発生し、なおかつ持続するということになります。また、コルチゾールの分泌過多によって、海馬という短期記憶をつかさどるメモリが十分機能しなければ、三者構成になった後の経験、馴れによる安心感の獲得、大丈夫だという記憶がなかなか定着しないこととなります。この観点からも、理由のない不安が持続することになります。

3 不安への対処、怒りまたは逃避
  さて、不安という危機意識を感じた場合、人間はどう対処するものなのでしょうか。これは、二つのFといわれる反応を行います。
一つは逃避行動(Flight)です。もちろん人間だけでなく、動物全般に妥当すると思います。危険から逃げるということは、基本だと思います。
もう一つは闘争行動(Fight)です。ゴキブリが家に出て、恐怖のあまり、動かなくなるまで叩き続けたという経験があると思います。条件次第では、闘って危険を解消しようとすることになります。逃走する余裕がなく、勝てるという意識があるときに怒りが起こりやすいようです。怒りは、怒りの矛先が、そもそもの危険に向かうことなく、勝てるという意識を持つ相手に向かう場合が多くあります。不安感を解消することが第一の目的となってしまい、自分よりも弱い者に怒りをぶつけて用をすますという形になります。差別等がこの典型例だと思います。
実は、もう一つのFがあります。凍結(Freeze)です。これは、逃げる余裕もなく勝つこともできないという意識の元に生じる反応です。高いところからつき落とされたり、猛獣の前に立たされたりして、仮死状態になったり気絶することがわかりやすい例です。
どのFの反応となるかは、条件によって異なります。また、逃げる余裕があると思うかどうか、勝てるかどうかは、個性やその人の立場(子どもを守る立場は勝てると思わなくても戦うなど)によってだいぶ変わります。

4 産後クライシス(怒り優位) 逆上・脱抑制型
  産後、妻の性格が変わってしまって、時折突然逆上し、大声で、言葉も極端に荒くなり、聞くに堪えないし、怖いという夫からの」訴えが時折あります。抑制がきかない状態ですから、全身全霊をかけて妻が自分を攻撃してくるのです。典型的な産後クライシスの現象だと思います。夫は、自分の母親がそのような傾向があれば別ですが、愛らしいイメージの妻が、突如豹変するわけですから戸惑ってしまいます。なにか、過酷な運命に叩き落されたような絶望感を抱くこともあります。
  冒頭にあげたおおたとしまさ氏のブログでは、母乳分泌を促すホルモンであるプロラクチンが敵対感情を高めるというイタリアの研究を紹介しています。これは、考えてみれば当たり前の成り行きです。
女性は、エストロゲン、プロゲストロンという、いわゆる女性ホルモンが多く分泌されます。このホルモンは、妊娠、出産時にも大量に分泌されます。ところが、出産後、これらのホルモンが極端に低下します。極端に低下することによって、プロラクチンが分泌され、母乳の分泌を促します。授乳中は子宮の修復が進みません。例えて言うと、女性は、出産によって一時的に女性から母親になるわけです。夫を生殖の相手としては意識できなくなることは、とても自然の成り行きだと思います。
  逆に女性ホルモンが低下することによって、女性ホルモンが旺盛に分泌されていて、夫が自分の生殖の対象とみている場合は、それなりの愛情表現、愛情感情が自然に湧いていたことがわかります。
  子連れの母クマが、気が荒くなり、父熊が近づいても牙をむくということは、わかりやすいでしょう。生殖の対象ではない父熊は、「危険」そのものですから、近づいてほしくないのです。また、弱い子どものために、闘うことでこの「危険」を乗り切ろうとするわけです。
  ホルモンの問題とは別に、夫が攻撃の対象になる理由があります。それは、近くにいるということです。妻の近くにいる人間は子どもと父親です。子どもを虐待する母親もいますが、通常は、子どもは、自分の体の一部と考えていますから、大切にすることになります。するとどうでもよい第三者は夫だけということになります。妻の不安は、これまでお話ししたとおり、外部に理由があることではなく、不安を感じやすい体調になっているということが理由です。正体のわからない不安に対しての反応の一つは、イライラすることです。何かに怒りをぶつけて、不安という危機意識を解消したい要求が生じています。そして怒りは、根本原因に向かわなくてもよいとすると、近くにいる夫に怒りがぶつけられるのは、避けることができないということになるわけです。要するにどうしたって、夫は怒りのサンドバックになる運命なのです。
カマキリの雄が生殖後に雌の食料になるのも、近くにいるということが、おそらく理由なのでしょう。他人事ではないのかもしれません。
  但し、この型の場合、妻は、夫に対する好意がなくならないということが特徴です。ぼろくそに言われている夫はなかなか実感できませんが、不安が収まりさえすれば、敵意もなくなることが多いです。あたかも男性がするDVのようです。もしかしたら、男性のDVも似たような構造なのかもしれません。
5  産後クライシス(逃避ないし萎縮優位) 連れ去り・生理的嫌悪型
妻が逆上することも夫に取って、毎日が暗く家に帰りたくないという状態となります。しかし、これからお話しする連れ去り妻の方が夫にとって致命的な打撃になる場合があります。
  どうやら、妻が逆上することによって不安を発散できない場合にこの型が出現するようです。
  不安を発散できない場合は以下の場合が確認されました。
 ・ 妻を暴力的に抑え込むために、怖くて妻が発散できない場合
 ・ 理詰めで追い詰めて、妻の逆上を精神的に抑え込む場合
 ・ 妻が夫を好きだ、ないし、捨てられたくないという感情が強いため、夫に対して怒りを向けることを抑制してしまう場合
 ・ 夫以外の、例えば夫の両親と同居していることで、感情の発散を抑制しなければならない環境にいる場合
  このように妻が感情を発散できない場合、妻は、自分の不安感が尊重されないという息苦しさを感じていくようです。両親同居型の場合は、最初両親に対して息苦しさを感じますが、結局は夫に怒りが集中していきます。
  自分の不安が強引に抑え込まれたという記憶だけが残り、記憶力の曖昧さゆえに、前後の脈絡が不明となり、暴力をふるわれた、暴言を吐かれたというふうに記憶が作り替えられていきます。「自分は、夫から、はがいじめにされた。」といっても、「どうしてそうなりましたか。」という問いに答えることができません。実際は、逆上して暴れているので、押えようとしただけなのに、そのことは記憶から失われていて、抑え込まれたことだけを記憶しているのです。何か不安を発散させようとしたところ、夫から理詰めで押さえつけられても、そのことを忘れて、最後の自分の意見を言わせられなかったことだけが記憶として定着しているのです。夫にとっては、妻がわかっていて自分を陥れていると考えることは当然でしょう。しかし、妻は本当に忘れているのです。逆に言うと、逆上している状態の妻は、本来の妻ではないと考えられるのかもしれません。
  こうして、自分の不安、危機意識に対する解消行動をことごとく夫に否定され続けていくと、妻は、自分が支配されているという気持ちになってゆきます。夫は、「自分の生きるための行動を阻止する人物」だということになっていきます。やがて、夫のために自分がだめになるという意識になるわけです。これは、言葉で意識が深まっていくのではなく、無意識のうちにイライラや不安、疎外感だけが深まっていきます。
  こうして、夫を生理的に受けつけられなくなります。街で夫と同じようなコートを着た男性を見ただけで足がすくんだと話してくれた女性もいます。声をかけられただけでパニックになったという女性も見ました。極めて深刻な関係が完成されてしまっています。暴力があった場合は、なんとなくそれもわかるのですが、暴力や暴言のないケースも、他の被抑圧感情が持続すると、このような相手に対する生理的嫌悪が完成するようです。
  特に理詰めで支配された妻は、夫と話し合うということをしません。それ自体がトラウマになっているのでしょう。子どもを連れて、或る日家から出ていくことになります。残された夫、特に暴力も暴言もなく、自分ではやましいことのない夫は当惑します。わかりやすい表現は、「他に男ができて自分が捨てられたのだろう」という気持ちになります。自分が家族の一員として否定されたということを感じるわけです。家族のために、残業や休日労働をして、安定した仕事を維持しようと必死に働いていたのです。それなのに、どうして自分が否定されるのか、全く思い当たらず、茫然としてしまいます。この状態が離婚後20年続いている人を偶然みました。どうして自分が捨てられたのだろうということが、生きているテーマのようで、そんなことを考えてばかりいたために、人間関係に自信がなくなり、それまでの不具合も噴出して仕事をやめさせられたようです。自分が何に悩んでいるのかも、よくわからなくなっているようでした。
  自死のニュースもよく聞きます。焼身自殺をしようとした父親を助けようとして小学生の子どもも焼死したニュースは忘れられません。祖父母も孫に会えなくなるだけでなく、自分たちに対しての罵詈雑言が耳に残り、精神科医への通院が長期にわたるケースもあります。眠れないのです。
  妻の側も、夫が主たる原因ではなかったので、夫から去っても不安が解消するわけではありません。長期の入通院を繰り返している方、心理カウンセリングを長期間受けている方もいらっしゃいます。通常は、男性不振になっていて、仕事にも影響が出ています。仕事のスタッフは、少しずつ馴れていきます。まさに馴れによって安心感を獲得していくのですが、遅々として進まないことも多いようです。

<対策編>
  残念ながら、この対策でうまくいったという実例はありません。また、わかっていても、罵詈雑言などによるショックのため、対策を実行できるのか心もとないところもあります。ただ、原因がこれで正しいなら、こういう対策になるはずなので、ヒントとして使われれば幸いです。

1 自分たちの状態を俯瞰視すること
  何か困難があっても、自分が今どのような状態で悩んでいるか、外から大づかみに見ることができれば落ち着くことができます。当事者になってしまうと、何が起きているのかわからず、悪い方向へ考えてしまいがちです。
  また、身体、生命に危険がないということを自覚することによっても、落ち着きます。不安、危険は、生命身体の危険を感じた場合の反応です。そういう反応をする必要がないということを自覚することが有効です。自律神経訓練法だったり、自分の体を感じることによって、生命身体的には安心する方法もあります。深呼吸は、肺のガス交換ではなく、空気が体を流れ、胸やおなかが膨らむことを感じることによって、身体生命の危険がないことを自覚する安心方法です。
2 原因は自然の摂理であり、誰が悪いわけではないこと
  自分たちの状態を俯瞰視することの続きでもあります。妻が産後に情緒不安定になったり、逆上することは、出産に伴うホルモンバランスの変化で、不安を感じやすくなっていることが出発だということです。妻がもともと危険な人格であったのを隠していたわけではありません。また、夫の対応が人並み外れて劣悪だったことが主たる原因ではありません。
  それだけ、命をかけた妊娠出産は、一大事業であり、失神することもなく無事出産した母親は、崇高な存在なのです。その大変さに比べれば、自分が精神的に参ってしまうことなんて、大したことがないことかもしれません。「よくぞ大変な思いをして子どもを産んでくれた。」慰めかもしれませんが、こういう気持ちだけでも、男は持つべきだと思いませんか?多少の妻の発散くらい許すべきだ。もっと、リアルに述べれば、あきらめるべきなのです。「こんなはずではなかった」というのは、むしろ女性のセリフなのでしょう。
3 発散はやむを得ない
  逆上しても、罵詈雑言を浴びせられても、やむを得ないというところから出発することは必要です。しょうがないと思うことです。罵詈雑言の言葉に意味はないのです。おそらく本人は、次の瞬間忘れているでしょう。真に受けないで、静かに受け流すことが大切です。静かに、頷きながら聞いたところで、それを肯定した効力が法律上発生するわけではありません。
  これと反対に、言葉の字面に反応して怒ってしまうと、妻の不安に火を注ぐことになります。あきらめて静かに聞いていることで、妻は安心していくでしょう。
  押さえつけたり、怒りの言葉に議論でねじ伏せてしまうと、夫に怒りを発散させられないということで、さらに悲惨な結果が待っています。連れ去り離婚だけではなく、子どもに対する虐待です。乳幼児の上の子がいる場合が特に注意が必要です。
  自分が発散の対象になれば、子どもたちにそれ以上の迷惑をかけなくてよい、いわば自分が防波堤だと思えば、我慢もできるでしょう。
4 切り替えが大事
  言葉に意味はないし、腹に何もない、怒りの原因もはっきりしないのですから、言うだけ言えばすっきりすることも多いです。落語に出てくる江戸っ子みたいなものです。気が付いたら家族が深刻な顔をしている。「あれどうしたの?」ということが良くあります。もし、妻側が、話題を変えて、怒りが収まっているようなら、すかさず、その話題に乗りましょう。「今まで親の悪口を言われていて、さあ仲良く話しましょうなんてできるか。」とは言わないでください。何の意味もない言葉が音になって流れていただけですから、そう思いましょう。逆上、罵詈雑言、不合理な行動、すべてなかったことにする。双方がなかったことにすることが大事です。
  逆上することを許すということです。妻にとっては、自分の一番負の部分を尊重してもらったという記憶、安心感を獲得できるかもしれません。そのためにも、切り替えを意識的に行えれば達人だということになるでしょう。
5 孤立を避ける
  そうはいっても、このような不安感は、すぐに収まるものではありません。母乳を与えている以上は続くことが理にかなっています。おそらく母乳が終わったからといってきれいさっぱりなくなるのかというとそうでもないようです。特に不安感が固定されてしまった場合は、終わることがないかもしれません。どんなに達人の男性でも、果てしなく続き、終わりが見えないということになると、「自分は何のために生まれてきたのかしら」と思い悩む人も出てきます。これは、子孫を設けるための仕組みですから、子どもを育てることも人生の目的だと割り切れば、それも楽なのですが、そうもいかないことも多いでしょう。
  同じ苦しみを経験している男性に話を聞いてもらうことが有効だと思います。昔、「だめオヤジ」という古谷三敏氏の漫画がありましたが、救われた男性は多かったと思われます。気を付けなければならないことは、その愚痴が間違っても拡散されないことです。信頼できる第三者を選ぶべきでしょう。
6 自分を変えることで予防効果を高める
  逆上している妻の行っていることはいかにも不合理です。よく聞くとつじつまの合っていないことも多いのですが、当事者はなかなか冷静になれないので気が付きません。
  この場合、自分は正しくて妻が間違っているということ100回言っても何の意味もないことを悟りましょう。「正しさ」というものは、他人通しを規律するためのものです。道徳も同じです。家族の中では、正しさに依拠して行動するのではなく、相手の感情に依拠して行動することが正解なのです。特に人前で、自分の女房の不合理を通すことはなかなかできませんが、自分の子どものことを考えれば、ある程度は妻を立てるほうが賢明です。そもそも、産後直後は、妻を自分の大切な取引先などに連れていかないことがセオリーでしょう。
  「正しさは行動基準にならない」と並び称されるべきは、「悪くなくても謝る」ということです。悪いことをして、それが否定的評価が与えられるべきことを認め、改善を約束することというのは、夫婦の中では忘れてください。誤るとは、「私はあなたに敵意がありません。」ということの最上級の表現だと考えを改めるべきです。
  「妻の行動を肯定すること。」、「おいしいね」、「そのセンスいいね。」。「ありがとう」、そんな言葉で落ち着くことが多いようです。ところが、その時落ち着いても、忘れることも多いのです。数を稼ぎましょう。
  真面目な男性は、心にもないことを言うことや葉が浮くようなことを言うことができない人がいます。相手を尊重することを過大に考える人も多いのです。そうではないようです。言葉にすることが大事なようです。それで安心してくれるならば、可愛いと思うべきでしょう。自分を大事にするあまり、そういうことができないならば、単なるいいわけです。
  弱い部分、自信のない部分の評価を求めてきたら、肯定しましょう。料理の味の改善などよりも、平穏を選ぶという選択肢がつきつけられているのです。
7 双方の実家との交流
  双方の実家と交流があっても、理屈上産後クライシスは防げません。しかし、産後クライシスによって破たんする夫婦の多くが、実家ぐるみの付き合いがない場合が多いです。だから、簡単に妻は自分の実家に逃げて閉じこもることができるのです。妻の実家の両親から何か注意を受けたら、喜んで素直に従いましょう。妻の両親にも安心感を持ってもらうことによって、最悪の事態を防げることができるかもしれません。
  双方の墓参りも、できる限り行うべきです。
8 のぞましい支援者と中止するべき支援者
  先ず望ましい支援者です。妻側の支援者は、子育て経験のある同性が良いようです。その人が、それは大変だ、苦労しているとねぎらう言葉をかけてくれることが有効のようです。同じことを夫が言っても効果がないのですが、他人の経験者が言うといやされるようです。子育て支援など、行政は活発な支援展開をするべきです。
  決して「たいしたことがない」と励ますのではなく、「大変だけどみんなが通る道であり、私も何とかやってこれたのだから、あなたも大丈夫だ」という視点で励ましていただきたいと思います。苦しんでいる人に、苦しむ理由がないというようなことを言ってはいけません。苦しむのは正当、正常だと肯定することが必要だと思います。
  注意するべき支援者がいます。妥当な解決方法を一緒に考えるのではなく、マニュアルに従った回答をしたり、自分の金もうけに利用しようとする支援者です。このような支援者の言うことを真に受けてしまうと、一時的に苦しみから解放された気になっても、新たな苦しみが待ち受けています。見抜く方法は案外簡単なのですが、自分の不安で精一杯である場合は、なかなか見抜けないものです。
・ 子どもがいるにもかかわらず、そのことを切り捨てる形で、離婚をするべきだという支援者
・ 夫から意見を聞こうとしない、夫に対して改善を提案しようとしない支援者
・ あってもいないあなたの夫に対して、悪口を言い始める支援者
  このような支援者は、あなたの漠然として不安、危機意識を、夫がすべての原因であるように水を向けます。本来一時的な産後の不安やイライラが固定化され、男性不信や人間不信にあなたを導く結果を招こうとしています。問題の解決に妥当するかどうかにかかわらず、あなたを夫から保護という名前の書く理をすると点数が上がる職業の人たちがいます。また、離婚をさせることによって金儲けになる人たちもいます。あなたが言ってもいない夫からのあなたに対する暴力がいつのまにか作られています。あなたは違和感を覚えながら、記憶を必死に呼び起こし、暴力らしきことがあったと言う努力をさせられます。おかしいなと思ったら、自分のことですから、手を切る勇気が必要です。迷ったら、「子どもの健全な成長のためにどうしたらよいか」ということを一生懸命考えてください。その「支援者」は、あなたの子どもの将来を考えていますか?経済的問題、心理的問題いろいろなことが将来にとって重要になります。「そんなことより、お母さんが幸せでなければ子どもは不幸になるのではないですか。」という大雑把な考えでは子どもの健全な成長は見込まれません。本気で子どもの将来などを考えていない人のセリフですから覚えていてください。「DVがあったと言う方が、離婚に伴う慰謝料が高くなる。」というのは詐欺です。あなたは犯罪行為に加担して子どもを健全に育てられますか?こういうことを言う人は、自分の体験をあなたでかたき討ちをしようとしている人たちが多いです。慰謝料を必要以上に取るということは、不合理に人生の烙印を押される夫がいるということを自覚してください。そういうことを捨象した子どもが、罪もない子どもを虐める側に回ってしまうということに目を覚ましてください。
  他人の作ったマニュアルで、自分や夫、何よりも子どもたちの運命を決められないようにここは踏ん張りどころです。
9 社会に向けて
  産後クライシスは、誰にでも起こりうることです。女性の不安の解消は、夫の力だけでは十分ではないかもしれません。
  第一に、産後の女性の変化について、対人関係の視点から、脳科学、生理学、医学、心理学等が、必要な研究をして、必要な情報を提供するべきです。それぞれが、それぞれの分野に限定した研究をすることで、すでに解明されていることがわからず、無駄な心配、不安、家族分離が行われています。健全な子供たちの成長の視点で、ぜひ協力していただきたいと思います。
  第二に、当面、母親を本当の上で励まし、家族の危機を解消するために、保育士などの子育て支援のメンバーに、お母さんが簡単にアクセスできるようにしていただきたいと思います。ある程度経験の豊かな年齢の支援者が多く必要です。それほど人を集めることに困難はないと思われるのですがいかがでしょうか。
  第三に、家族の危機を修復する公的な機関が必要だと感じています。


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コメント 2

迷いパパ

感銘しました。クライシスの最中、連日気が狂いそうな毎日。迷いながらネットをさ迷い、正鵠を射た意見を初めて読みました。
第2子の産後一年、妻子とは1ヶ月ほどしか同居出来ませんでした。突然の別離宣告と、貴方は要らない宣言を受け、離婚するしか無いのか、という絶望を感じながら、苦しかった。開きなおって、私は孤独でも、離れていても、妻子が元気に楽しそうなら、良いじゃないか。老い先は独り歩きで良いかな。と思うと次第に事態は好転したようです。週末には揃って過ごす時間が出来てきました。たまたま近所のおばさまが善き支援者となってくれた、不思議な縁があったようです。話をしながら家族でランチをして週末を過ごすうちに、妻に一度は家に戻って見ようかな、という話が出てきました。将来は家の売却と妻実家近くの転居は動かせなくなってしまいましたが。同居への望みが出て、しばらくは気持ちが前向きになってきたところです。不安はやはりホルモンバランスのせいですね。自分の正しさに拘るうちは言い争いが絶えず、聞き流す、雰囲気を良く保つ、これに尽きる。無用な離婚をしている方々が、不幸な子供たちが少しでも居なくなるように願っております。
by 迷いパパ (2017-01-10 23:29) 

ドイホー

皆様、コメントに気が付かず、申し訳ありませんでした。今読み返そうと思いましたが、あまりに文字が小さく量が多いので断念しました。よくぞお読みいただいた、ありがとうございます。本当に切なくなります。理不尽な攻撃を受けながらも、当事者でありながら冷静な分析をされていて敬服いたします。一言でいって、皆さんおっしゃる通り、男親は我慢するものだとあきらめています。何もかもすべて思い通りということではなく、一番大事なものを見極めて、優先順位を作るしかないのかもしれません。
by ドイホー (2017-04-27 09:46) 

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