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浮気をされた女性の心理 何年たっても消えない傷の正体 [家事]


(本質的には男女差はないと思うのですが、
説明しやすいため、夫が浮気をした場合ということで。)


小さな子どもを抱えた、浮気をされた奥さんの
離婚調停の代理人になることが
これまで何度かありました。

特に、浮気現場が自宅だという場合は
かなり精神的なダメージが強く出るようです。

自宅に入ることがどうしてもできなくなるようです。
会社なり、実家なりから、自宅に帰ろうとしても
どうしても体が動かなくなる
金縛りにあったように自分で自分の体を
動かせない状態になるようです。

死ぬような危険なことはないのに、
あたかも自宅に帰ると死ぬような怖い出来事が起きるような
そんな不吉な感覚のようです。

また、自宅で不貞が起きようと別の場所であろうと
浮気をした夫に対しては、
近しい気持ちが無くなります。

生理的な嫌悪ということはなんとなく理解ができるのですが、
恐怖すら感じるようです。
あたかも夫が自分を殺すかのような
壮絶な恐怖を感じているようです。

どうして恐怖を感じたようになるのか。

これは対人関係学的な考察をすれば
理解を助けることになると思います。

人間も動物ですから
身体生命の危険に対しては、恐怖を感じます。
人間独特の感覚として、
自分が仲間から外されそうだということを感じると、
やはり自分が危険な状態であると感じます。
ドキドキしたり、顔が赤くなったり、熱くなったりですね。

これは人間が群れを作るための遺伝子的仕組みで、
仲間の感情を読み取って、自己の行為を修正し、
仲間から外されないようにするわけです。

ひどいことを言ったら、逆に攻撃されるから言わないとか、
ここで助けないと恨まれると思うから助けるとか

あるいは、テストで悪い点数を取らないように頑張ろうとか
会社を首にならないために頑張るとか
まあ、そういうことですね。

そうして、何か失敗をして上司から叱責されると、
とてもドキドキしたり不安になります。
これは、交感神経の活性化といって、
血圧が上昇し、脈拍が増加し、体温も上昇する等の
体内の生理的変化なのです。

この反応は、身体生命の危険を感じた時と
大ざっぱにいうとまるっきり一緒です。

身体生命の危険についても
ちょっとひっかき傷ができるだけの危険から
出血多量などで死亡する危険まで
その危険性に応じて交感神経の活性化の度合いが代わると思うのですが、

対人関係的危険についても
ちょっとからかわれるだけから
追放されてしまうまで程度があることでしょう。

夫に浮気された妻の状態は、
死亡の危険に匹敵する危険の感じ方をするのだと思います。

特に女性は、男女関係において
チームになることを重視するようです。
これは、出産をする性として
遺伝子上組み込まれている合理的な志向です。

夫が浮気をすることは
自分と夫とあるいは子どもが一つのチームだと安心していたのに、
チームの中に異分子が現れてしまい、
一つの閉じた、安心できるチームではなくなったということのようです。

自宅に泥棒が入った人の話を聞くと、
自分の家なのに、自分の家だという安心感が無くなる
ということを言います。
常に泥棒がいるのではないかという感覚だそうです。

自宅に強盗が入ったらなおさらでしょう。

夫が浮気をしたということは
家庭という建物の中に強盗が入ったような感じなのでしょう。
その強盗が浮気相手ではなく夫なのです。
もはや同じチームの仲間ではなく、
自分をチームから追放しようとしている
という感覚になるのでしょう。
完全に敵であり、
自分の対人関係的な生存を脅かす
攻撃者、生きる活動の妨害者というように
脳が勝手に感じてしまうということが近いようです。

だから、浮気をした夫に恐怖を感じるということは
対人関係学的な理解をすれば
極めて自然な流れだと思います。

問題なのは、この後です。
自分は、このような恐怖や屈辱や疎外感を感じながらも
子どものためにやり直そうとして、
離婚をせずに同居を続けたとします。

やり直すと言いましたが、
実際にやり直すことは難しいようです。
やり直している人もいます。

むしろ、
これまでとは違った
あたらしい関係を作っていくという方が
近い場合も多いようです。

この考えは、離婚を避けたい場合は有効です。
どうしても、昔のようにわだかまりなく生活することが不可能でも、
少しずつ、同居に馴(な)れていく
ということはあり得ることです。

そうやって努力をしていくのですが、
ふと何かの拍子に
努力ができなくなることがあります。

浮気の証拠と同じものをテレビで見かけたとか、
浮気の場所を通りがかったとかですね。

但し、
そういう頭の記憶をよみがえさせる場合だけでなく、
体が記憶していることで苦痛がよみがえることがあるようです。
例えば、浮気が発覚した時の気温であるとか
沈丁花の匂いがしたとか
転んでひざを痛めたとか、
そういう、本人も気が付かない出来事を
体が覚えていることがあるようです。
その体の記憶が浮気と結びつけられてしまっているのです。

これは相当根深い心の痛みを抱えていたことが
わかります。

みんながみんなそうではないのですが、
夫の浮気がPTSDのようになっている場合があるわけです。

夫としては。何年も前の浮気だし、
その後平穏に暮らしていたのだから
まさか、その浮気が原因で妻が自分を拒否している
ということを理解することができません。

何か別に原因があるのではないかと
考えることはむしろ自然かもしれません。

PTSDのような状態になる場合、
妻は古い記憶を思い出して嫌な気持ちになっているのではありません。
その時に感じた屈辱感や恐怖感を
その時と同じように感じているようです。
記憶がよみがえったのではなく
感覚がよみがえっているのです。

ここから逆に浮気をされた心理を考察すると
先ず、「自分」という感覚が壊されたということになります。
自分とか自我というのは、生命体単体で感じるものではありません。
自分を取り巻く大切な仲間とのつながりを含めて
「自我」というものを感じているそうです。
そうだとすると、夫という大切仲間との
つながりが絶たれることは、
結局「自分」というものが崩壊してしまう感覚を持つ
ということになります。

また、浮気をされたことによって
夫以外の人との関係でもつながりがたたれたと
そういう感覚も持つのかもしれません。

これが孤立感であり、疎外感であり、
人間の生命線を絶たれる不安を感じているということであり、
命の危険に匹敵する出来事だということになります。

また、一番安心を感じたい、
一番基本的な仲間の裏切りであるから
絶望感を感じやすくなります。

この絶望を感じたくないために、
時に、自分が何か悪かったからではないかと
罪責感を抱いたりするわけです。

「あなたは悪くない」
というアドバイスは、
この罪責感を抱くことによって
絶望感を回避しようとする活動を遮断することですから
とても危険なことだということになります。

その罪責感にも寄り添うことが本当の寄り添いです。
極限的状況において何が起こったのかということ罪悪感を伴った意識をすすんで分かち合うことが寄り添いなのです。
そうすることによって初めてもつれた糸をほぐすことができるわけです。

ここまで考察が進めば、女性にとって
夫に浮気をされたということは
個性による違いはあるにしても
強姦された場合と大差のない精神的被害を受けていた可能性がある
ということになります。

ずいぶん前の浮気を言い出したということは
精神的にはかなり危険な状態です。

夫とのつながりを復元できない場合は、
夫以外の親や兄弟、子ども、友人等
つながりの中で癒されることが必要です。
新たな自我を形成していく過程で
恐怖反応を克服していく必要があります。

「ずいぶん前のことを今更言い出すなんて」
という人は、
人間を支援したり、人間の紛争に関与したりすることを
一切やめていただいたいと思ってやみません。

参考文献
「心的外傷と回復」(みすず書房)
ジュディス L ハーマン
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