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品質偽装等の企業犯罪が起きる理由 コンプライアンスという言葉が意味をなさない理由 [刑事事件]

長年にわたり品質検査を改ざんしたり、
検査そのものに瑕疵があり続けていることが
次々と発覚しています。

コンプライアンスという言葉があるくらいですから
今般問題になっている企業も
それなりのコンプライアンスの整備を
お金をかけてやっていたことと思います。

おそらく、法律や道徳という規範(きはん
平たく言えばルール)を守る仕組みを作っていたことだと思います。

長年刑事弁護をしている者としては
なるほどそれではダメだろうなと思っているので、
どうしてダメなのか、どうすればよいのか
ということをお話しします。

刑事弁護で、例えば万引き犯の弁護をすると
万引きが窃盗罪に当たるかどうかはともかく、
それが法に触れることだということを知らない人はいません。

もちろん、法律は守らなければならないことで
自分のしたことは悪いことだということはわかるのです。

多くの刑事裁判で万引き犯は、裁判所で、
悪いことは重々分かっている
今後気を引き締めて二度とやらないことを誓う
という言っていることでしょう。
これでは万引きを繰り返すだけです。

色々なノウハウがあるのですが、
今回は企業犯罪との関係に絞ります。

要するに、「法律があるから、道徳があるから
人は犯罪をしない」
ということではないということが重要です。

こういう考えは、
人間の自然体は犯罪を厭わない弱肉強食だ
だから法律があって悪辣な人間を縛るのだ
という考えです。
中国でいえば、荀子の思想になじむものです。

しかし、どうですか、
あなたは、法律で裁かれなかったら
弱い者から金銭を巻き上げて平気でいられますか。

あなたが殺人を犯さないのは
法律があるからですか。

小学生を拉致してぼこぼこに殴らないのは
道徳に反するからですか。

実際は、それをしたいと思わないからしない
という方が実態に近いように思います。

しかし、種々の事情
広い意味で自分を守るため等の理由から
犯罪を起こします。
その時、法律や道徳があることは
あまり実行を妨げないようです。

先ほども言いましたが、犯罪を実行した人は
自分のしたことが法律や道徳に反することを
知っています。

では、どうして、多くの人たちは
自分を守ると言っても犯罪を実行しないのでしょう。
思いとどまる理由は何なのでしょうか。

私は、それは、被害者に対する共鳴、共感があるからだと思います。
命を落とすことの恐怖、
お金を巻き上げられ事の経済的損害や屈辱、恐怖
叩かれることの痛さ、怖さ、孤立感
そういう負の感情を共感、共鳴によって感じ取り
ギリギリのところで自分の行為を思いとどまる
こう言うことが多いのではないでしょうか。

それを裏から証明することができます。

弁護士が弁護する被疑者被告人の方々は、
自分がした行為によって誰にどのような迷惑、被害を与えたか
直ぐに口に出すことができません。
その人の苦しんでいる顔を想像することが
色々な事情によってできないようです。

大型店舗の万引き犯の場合に苦労するのも
そういう具体的な人間の感情を伴った被害を
想像してもらうことなのです。

結局犯罪はなぜ起きるのかというと、
実行時に、被害者の心情に共鳴、共感できないからだ
ということになろうかと思います。

だから刑事弁護では、
まず初めに、具体的な人間が被害を受けて
悲しんでいたり、苦しんでいたり、という当たり前の感情を
想像して、言葉に出してもらうことから始めています。

形式的な法違反ではなく
実質的な法益侵害を理解してもらうという言い方もできるかもしれません。

今回の企業の一連の不祥事は、
世界的信用性を無くすということが指摘されています。
世界的なビジネス常識として、
コンプライアンス違反は
企業の経営状態の悪化を意味しているからです。
余裕のある企業はコンプライアンス違反をしない
という建前があるのは当然です。

さあ、ここから企業はどのような反省をするのでしょうか。
気が緩んでいた、法律や企業道徳の理解が不足していた
今後は気を引き締めて緊張感をもって頑張る
というまるっきり無意味な反省をして
日本という国を巻き込んで沈没していくのでしょうか。
刑事裁判なら限りなく0点に近い反省です。

もう、言わずもがなだと思うのですが、
やるべきことは、
自分が行った不正によって、誰がどのように迷惑、損害を被ったか
どのような被害があり、そのことによって
誰がどのような感情を抱いたか
途方もない被害者になりますが
それを一つ一つ考えていくことです。

それが反省の出発です。
どんなに法律を勉強して
ストッパーを構築しても、
自分の経済活動が人とつながっているという当たり前のことが
企業人すべての共通認識になっていなければ
再発は必至でしょう。

今度はばれないようにやる
という技術だけが向上するでしょう。

大事なことは、自分たちの企業活動が
人の幸せにつながっているという
社会の中の役割感、仕事をするほこりを育てる
ということなのですが、
理解されるか、とても自信がありません。

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